医療法人愛仁会 高槻病院

器官発達学研究室

研究員紹介

  • 室 長:原田 敦子
  • 研究員:土居 ゆみ

研究の概要

当研究室は小児脳神経外科の原田敦子(室長)と小児麻酔科医の土居ゆみで構成されています。発達段階にある小児を対象に外科的、または手術や麻酔に関する観点から研究を行います。現在行っている研究テーマについて概説します。

1. レーザー計測装置とミシガン大学式頭蓋形状誘導ヘルメットを用いた頭位性斜頭の治療

赤ちゃんの頭の形への関心の高まりから、頭位性斜頭(いわゆる向き癖)による頭蓋変形に対して、頭蓋形状誘導療法(ヘルメット治療)が欧米では普及しており、日本でも2018年に薬事承認されました。当院では2015年からヘルメット治療を開始し、2019年3月までに209例に対して治療を行い、症例が蓄積してきましたので、データをまとめていきたいと考えています。

2. 全身麻酔を必要とする小児が受ける身体的・心理的負担が及ぼす影響

成人では麻酔なし、あるいは局部麻酔などで行える手術・検査であっても子どもには全身麻酔が必要なことがあります。子どもは子どもなりに手術や検査を受けるにあたり年齢相応の身体的・心理的負担があります。
全身麻酔や周術期のストレスが小児の身体やその後の発達におよぼす影響を調査し、それらを軽減させるための因子を検討します。

3. 検査のため全身麻酔を受ける小児の気道に麻酔薬が及ぼす影響

検査のために安静や不動化が必要な際、小児の場合、多くは鎮静剤や麻酔薬の投与を受けます。鎮静には様々なレベルがあり、それらは一連のものとされており、鎮静は容易に全身麻酔へと移行し、気道の開通性は危うくなりえます。
安全に気道を維持し、確実で質の高い検査を行うための最適な方法を分析します。

4. 脊髄髄膜瘤の治療と予後に関する後方視的研究

近年脊髄髄膜瘤の8割ほどが胎児期に診断されるようになっています。胎児期に診断されている脊髄髄膜瘤の胎児は予定帝王切開で出生し、予定手術で脊髄髄膜瘤の修復を受けられることから、比較的良好な成績が得られています。一方、欧米から胎児期に髄膜瘤を修復することにより機能予後や水頭症の合併率が改善するという報告がなされました。胎内手術による早産のリスクや倫理的な問題から、日本では胎内手術は現時点では行われておりませんが、今後実施される可能性があります。
将来の胎児治療をふまえて、大阪大学医学部が中心となり、現行治療(出生後の髄膜瘤修復術)の評価を行うことになりました。当院もこの研究に参加しておりますので、当院に通院中の脊髄髄膜瘤の患者様には、匿名という形でデータを提供していただいています。

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5. グリオーマにおける化学療法感受性の遺伝子指標の検索とそれに基づくテーラーメード治療法の開発

原発性脳腫瘍で一番頻度の高いグリオーマ(神経膠腫)に対する治療は、近年腫瘍細胞の遺伝子型によって、テーラーメードで行われるようになってきています。
大阪医療センター金村米博先生が中心となり、関西地区の脳腫瘍の遺伝子解析が行われており、当院もこの研究に参加しています。患者様の同意が得られた場合、金村先生の元に腫瘍組織を送り、腫瘍の遺伝子解析をしていただくことにより、化学療法の薬剤の決定や予後予測が可能となっています。

6. iPS細胞の分化パターンによる頭蓋縫合早期癒合症の分類と病態メカニズム解明

頭蓋骨縫合早期癒合症は頭蓋骨を連結する縫合が早期に癒合する疾患で、頭蓋の変形や狭小化を引き起こします。20%程度は責任遺伝子がわかっていますが、残りの80%はまだ原因が解明されておりません。今回東京医科歯科大学歯学部分子発生学分野でiPS細胞を用いた頭蓋骨縫合早期癒合症の原因解明の研究が行われることになり、当院でもその研究に参加することになりました。具体的には頭蓋骨縫合早期癒合症の患者様の手術時に切り取った骨をサンプルとして提供し、解析します。また、正常のサンプルも必要なため、頭蓋骨縫合早期癒合症以外の開頭術の際に切り取った骨の一部をご提供いただくことがあります。

7. 小児水頭症に対する脳室腹腔(VP)シャントの治療効果の評価

小児水頭症に対するシャント治療の全国規模の調査が脳神経外科学会、小児神経外科学会主導で2019年より行われることになりました。当院小児脳神経外科もこの調査への参加依頼をいただきましたので、倫理委員会の承認を得て、参加することになりました。当院で2019年7月以降にVPシャントを新規に行う患者様で、研究への参加の同意が得られた患者様が対象となり、シャントの種類、水頭症の原因、画像所見、手術方法、合併症などの情報を提供します。

8. 頭蓋骨縫合早期癒合症術後の頭蓋形状誘導療法(ヘルメット治療)についての後方視的検討

頭蓋骨縫合早期癒合症の治療には、頭蓋形成術や頭蓋骨延長法などが行われてきましたが、いずれも生後6カ月以上で手術を行います。近年赤ちゃんの頭の形への関心の高まりから頭蓋骨縫合早期癒合症が乳児期早期に診断されるようになりました。今までは乳児期早期に発見されても、6か月になるまで治療を待つことが多かったのですが、当科では6か月以前の赤ちゃんに対して内視鏡下縫合切除術を行った後、ヘルメットを装着するという低侵襲の治療を開始しました。この治療法は日本では限られた施設でしか行われていないため、2015年からの当科での治療成績をまとめたいと考えています。

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9. 頭蓋骨縫合早期癒合症における輸血回避の因子についての後方視的検討

頭蓋骨縫合早期癒合症の手術では、50-100%で輸血を要するとされています。輸血に関しては感染症やアレルギー反応などの問題から、小さなお子様では特に回避すべきですので、当院では輸血を回避するための取り組みを行っております。術前1か月前から鉄剤を内服したり、10kg以上の児では術直前の自己血採取や術中に出血した血液を回収して体に戻す装置を用いたりします。上記の取り組みのうちどの項目が輸血回避の因子になっているのか解析し、輸血率をさらに下げていきたいと考えています。

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10. 小児頭部外傷患者に関する調査

当院には年間500名前後の頭部外傷の子供さんが受診されます。ほとんどのお子さんが軽症ですが、時に重症で手術を要する場合もあります。適切な診断、治療に結び付けることを目的として、頭部外傷の受傷機転、症状、画像検査などを調査することとしました。

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研究課題一覧

業績一覧

氏名 論文 発表
室 長:原田 敦子
研究員:土居 ゆみ

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